50ミリブログ

20150910_写真の設計図

『設計』というと建築などのイメージがあるかもしれませんが、撮影前の事前準備としても『写真の設計図』を描くことがあります。
裏方の話なのであまり公開するようなものじゃないけど、先日クライアントさんとその話題になったので少しだけ紹介してみようかな。

写真撮影の目的はいろいろありますが、特に企業さんの広告のための写真ビジュアルづくりは、ときに売上を左右するとても重要なツールになるため様々な作戦を立ててから撮影に入ります。

まず企業さんやクリエイターのみなさんと打合せをして広告の方向性やメッセージを検討・整理し、伝えたいことを可視化するためにはどんな写真が良いだろうかということを考えます。そしてそれを実現できるような場所やシチュエーションを探しにロケハンをし、具体的な画が決まったら必要な準備や手配をして本番撮影に挑みます。
その撮影準備のひとつとして、写真撮影のための設計図を描くことがあります。

その内容の多くはライティング(光のつくりかた)の方法です。一般的にはあまり意識しないのかもしれませんが、写真は光によって雰囲気がかなり変わります。そのシーンが朝なのか昼なのか夜なのか、晴れているのか曇りなのか、モードなのかナチュラルなのか、大人向けなのかキッズ向けなのか。絵を描くときも光と影を付けると立体的になったり深みが出たりしますよね。それと同じで、どこにどんな光を当て、どんな影を作るか、なんてことを考えてライティングを考えていきます。

以前、50ミリブログでもそんなことを書きましたね。
↓同じ日に同じ場所から東京ドームを撮ったのですが、自然光でも時間によって写真の雰囲気は変わります。
スクリーンショット 2015-09-11 10.54.29
→『光によって、写真は変わる。』2014.1.1

光には様々な種類があります。太陽の光などの自然光、電球・蛍光灯などの定常光、ストロボ(フラッシュ)などの瞬間光。それぞれの光にはそれぞれの特徴・特質があって、それらを組み合わたりして理想の光を創っていきます。

設計図と言っても誰かに見せるためではなく、自分の中のシュミレーション用のメモですね。また、それによって使用する機材も洗い出せるので機材準備のためでもあります。たまにアシスタント君たちにも共有したりして、撮影当日にスムーズに機材セッティングできるようにしたりすることもあります。

20150910_写真の設計図b

予算決めて、方向性を決めて、場所を探して、その場に合わせた設計をして、準備をして、それから実際に創り始める。写真づくりってそんな建築の工程に結構似ているんですよね。天気にもすごく左右されるし。
毎日のように撮影しているように思われがちだけど、撮影するための準備作業って結構多いんですね。

もちろん全カット描いているわけでなく、頭の中だけでライティングイメージをすることが多いですが、写真を始めたばかりのアシスタント時代は全部描いてましたね。先輩のセッティングをこっそり描いたりとか、撮る予定もないシチュエーションを妄想して設計だけしたりとか。笑

カメラの露出にもレンズにも光にも数値があって、イメージしたビジュアルを具現化するにはどうしたらよいかを数値も考えながら創り上げて行きます。写真ってセンスとかフィーリングだけでシャッター押しているって思われがちだけど、結構計算することも多いんですよね。

アングル決めはセンスかもしれないけど光はほとんど計算してるかな。

20150910_写真の設計図c

ただ写真は現実世界を写すものなので、とてもライブ感があるものです。念入りにシュミレーションしてもその時の天気によって光の状況は変わるし、その場でもっといいアイデアが思いついたらそれをチャレンジしながら試すこともあります。計算してきた数値だって本番じゃ全然違うものにしてしまったりします。
モデルさんが実際に画面に入ったら「こっちのアングルのがいいじゃん」とか「この光のがいいじゃん」ってことも良くあるしね。ガチガチに事前に決めた通りにしか撮影しないんじゃなんかつまんないし。

でもシュミレーションすることはとても大切です。基本的に自分のためのメモ書きなので相変わらず汚い文字ですが、これ描いているときワクワクするんですよね。文化祭の準備期間のような気分。うまく設計できたときはとても良い写真が出来上がることが多いですね。

写真はときに人の心をわしづかみにすることがあります。ボクもいくつもの写真に心をわしづかみにされてきました。
デジタル化でバシャバシャ撮ることも簡単になりましたが、100枚の駄作より1枚の傑作のほうが遥かに大きく心を動かすこともあります。
きっと、1枚の写真が企業さんを良い方向に変えることだってあると思います。

だからこそ1枚1枚の写真を大切にして広告写真を創っていきたいですね。

『写真を創る』って、面白いでしょう?

『写真の設計図。』

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