この12月から新しくスタジオをオープンする、市村写真さんにお邪魔しました。
壁塗りのお手伝い半分、終わった後の呑み目的半分。
カメラマンという人種はDIYが大好きで、撮影のためとあらば壁も造るし日本庭園だって造る。
撮影では現場に着いてクルマいっぱいの機材を運んで素早くセットし、
屋上にストロボ背負って登り、窓の外から夏の太陽に見立てた光を作ったり、窓にトレペ貼ったり、
そんなときに雨が降って来たらストロボに傘をさしたり、なかなか肉体労働でもある。
そのストロボがまた一台うん十万する高価なものだから困ったもんである。
雨に濡れたら感電や爆発することもあるから本当に困ったもんである。
もちろんライティングのセオリーなんてのも基本的には無いけど、自分が理想とする光はカメラマンにはある。
でも太陽だって気まぐれだから、雲に隠れちゃったらまた別の方法でアプローチするためにセッティングやり直しだったり。
どしゃ降りでも即席テント張って人工太陽を作り、晴れているようにだってする。
でも光が写真を決めるから、写真にとってはイノチそのもの。
モデルさんが最高の表情をしてくれても、光がイマイチだったら、トータル的にはイマイチになってしまう。
撮る画によってセッティングする内容も機材もまるで変わるし、
季節・天候・時間によって変わる環境は決してワンパターンではないのでそれに対応できるように修行するのは何年もかかる。
そして、いろんな状況を考えたロケの準備もまた撮影の一部。
ケータイやデジカメで簡単に撮れてしまう時代でも、プロの写真1枚に高い値段が付くのはそんな理由だったりする。
悪条件で、すごく良い写真ができたときはスタッフ同士で満足感。
でもモノとしては写真に写っていないのでそれがまた面白い。
あまり撮影立ち合い経験の無い方と仕事をさせていただいたときにはたいがい、
「思ってた以上に体力勝負なんですね」とも。
光や色の計算、機材の使い分けにはとても頭を使うので、
個人的には、センスを問われながら文化祭と体育大会と期末試験とをいっぺんにやってる気分。しかも好きな人に見られながら。
失敗したら留年ってワケにもいかないので一発の真剣勝負。
全力を出し切ったあとの炭酸が何故かやたらウマイ。
モデルさんも、特にファッションは冬に夏服の撮影が多いので大変である。
真夏に厚手のセーターとコートを外で着る撮影でも、顔にはいっさい汗をかかないモデルさんを見ると、プロさ加減を思い知らされる。
そんな体を張ったプロ意識に、体を張ってライティングしないとプロとは云えないだろう。
というわけで、スタジオの壁の色だって、ちょっとした違いで光が変わってしまうのでかなり重要である。
カメラマンじゃない人にはなかなか任せておけないからみんな自分でやる。
全力で壁塗りしながら、「こんなライティングができるなぁ」なんて考えるのも、また楽しい。
今日もまた、炭酸が必要である。
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