3000万人以上という世界最多の人口都市である首都圏。
日本の4人に1人は首都圏で生活していることになる。
羽田には今日も2分間隔で着陸する飛行機がやってくる。
東京ではない何処かからきた人達は、何を感じるのだろう。
10年前、東京で就職が決まったボクは上京し、日本の4分の1になった。
歯を磨いただけで吐き気がした水道水や、電柱に集まるカラスに東京を感じた。
研修が終わり配属先が決定し、定期を持った片道1時間半の毎日が始まる。
電車の中や、ホームから改札に登る階段では大勢のスーツを着た人たちが下を向いて歩く。
満員電車にもうんざりしたが、それ以上に「大勢の人が下を向いて歩く」という光景に違和感をもった。
大勢の中で転ばないように、スカートの中を覗いていると疑われないように、ケータイでメールを打つために。
下を向く様々な理由があると思うが、そこには東京の何か、見えない何か、を感じた。
昔から聴いていた、東京をモチーフにしたロックやブルースの歌詞の意味も何だかわかったような気がした。
動きたくても動きようのない混雑。
身体は固定されても、首から上は無理矢理にでも上を見ることにした。
上には面白い広告がたくさんあった。
電車の中の退屈はいつも中吊り広告が癒してくれた。
“広告が良かった”という理由だけである英会話スクールに申し込みにも行った。
でももっとこうした方が良いのに、もっと写真が良ければいいのに、と
心の中で勝手に中吊り広告に注文をつけるようになった。
数年経ち、家庭環境の変化によりボクは住処を地元に戻し、お仕事で東京に通うスタイルにした。
住んでいた時はあまり気が付かなかったが、水道水もキレイになりカラスの数もずいぶん減った気がする。
星も少し増えた気もする。
だがたまに乗る電車ではやはり下を向いている人が目立つ。
震災の経験や社会や政治への不安、変化のスピードが速い世の中に順応していかなければいけない義務感も原因だろう。
面白い広告が世の中に沢山溢れたら、少しでも上を見る人が多くなるのかもしれない。
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