50ミリブログ

20111215_ブルーオーシャン2

“ライバルは遠くに探せ。”

箭内さんゴロクのなかでも、ボクにはこれが一番効いている。

証券会社に勤める友人と、ビールと鉄板を囲みながらお互いのビジネスについて語り合った。
「ブルー・オーシャン」と「レッド・オーシャン」。
競争相手のいない領域=青い海 と 血で血を洗う競争の激しい領域=赤い海 という意味だ。

写真業界は不況だと云われて久しいが、まさに「レッド・オーシャン」化している。
商業写真という既存市場は血で血を洗うだけの競争になりつつあり、一部を除いて世界的に値崩れがヒドい。
デジタルだから安易になったという恐ろしい誤解が世の中に充満しているのも拍車をかけている。

ただ、いくらその価値があったとしても、それを感じる人がいなければ値は付かない。
高価な絵画であってもその価値が分からなければその値段は意味不明なものであるだけなのだ。

写真家とは日々写真を研究し、新しい写真を生み出す。

しかし、このまま写真のコモディティ化が続けば、名も無い写真家は写真家という職人業で食っていくことが困難となり
やがて価値とともに世の中の写真クオリティが全体に低くなっていく可能性もあるだろう。
写真の価値を高める活動が世の中にたくさんあってもいいと思うが、なかなかそんな場は少ない。
あるにはあるが、特に日本は写真業界関係者の自己満足の中でしか活動されていないのが悔しい。

もちろん、写真の相乗効果と結果を残さないといけないのはプロの使命であるのは前提として。


広告と広告写真に憧れ、脱サラしてカメラマンになり、広告を創るためにプロの写真術を学んできた。
しかし暫くの間腑に落ちなかった。
作家性のある芸術作品を残せる限られた存在であればいいが、どちらかというとそうではない。
広告に憧れるというだけあって、企業や業界の役に立ってこその写真を撮ろうと常日頃考えている。
しかしそこには根本的な問題があり、カメラマンの領域では入れないところが多いのだ。
ヘタに分業されているという理由もある。

このカメラマンという職業はジャンルを問わずいろいろな業界を見ることができる。
写真を必要としているのは、ほぼ世の中の業界すべてなのでターゲットエリアはかなり広い。
しかも、当たり前だがリリースされる前後のホットな段階で被写体を見ることが多く、大変刺激を受ける。

たった数年のキャリアであっても、
芸能界、音楽業界、建設業界、IT業界、衣料、飲食、食料品、美容、スポーツ、機械、什器、
学校、公官庁、政治、アミューズメント、工場、流通、教育、冠婚葬祭、アートなど、メジャーやニッチ含め
様々な業界と交流をさせていただき、金融とITしか縁が無かったボクにはまるで社会科見学だった。

ネット検索やビジネス書の活字を追っているだけの下手なコンサルよりは
より近いところで社会に触れていると思う。

これまたゴロクのひとつだが、本質的なことは”インターネットには何も載っていない”からだ。

それぞれの業界を”その中で客観視”することで、いろんなことを考えた。
現場を体感しているために、関わった業界への興味がかなり大きくなり、
サラリーマン時代よりも経済番組を片っ端から録るようになった。

現場でよく思う。
もっとこういう仕組みを作ったらムダを省けるのに、この業界とタッグを組んだら相乗効果が出そうなのに。
だけどカメラを持ってディレクターにくっついてうろうろしているボクにはその思いを出すことはできなかった。
もちろんその会社の仕組みに大いに感激することもあるが、そうじゃない場合も大いにある。

独立し、もちろん写真業に専念しているが
お仕事をいただいているクライアントさんと話す機会が増え、
職場や現場を何度か見ているうちに課題と問題、そしてボクなりの解決方法が見えることがあった。

気持ちが抑えきれなくなり、ダメもとでパワーポイントで作った企画書を持っていき、
「フォトグラファー」という名刺で写真と関係ないことまで話した。
もちろんまともに話しを聞いてくれないところや、ボクの幼稚な企画じゃまるでダメなこともあったが、
公式/非公式でそんなことを試していったところ、こんなボクのプランに賛同してくれる方が出てきた。
なんとも物好きな方であると思うが、
もし写真と関係なくても、その結果が企業の広告となり費用対効果が出ればそれでいい。

その結果、プロモーションするときに写真を撮らせてもらえればなお嬉しい。

個人一人でできることはボクの場合限りなく少ないけど、
相乗的であればもっと役に立てることが多いのかもしれない。

なんてのは驕りかもしれないけど、
決してライバルはカメラマンじゃない。

ライバルは遠くに探せ。
そこには自分なりのブルー・オーシャンが広がっているはずなんだ。


前置きが長くなりましたが、そんなワケで2012年はいくつか新しいことをやろうと思っています。

『ライバルは遠くに探せ。”ブルー・オーシャンとレッド・オーシャン”』

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